前回のコラムでドローンの測量の飛行方法についてスピンオフとしてまとめさせていただいたら思いのほか
反響がありびっくりしました。
産業用のドローンの記事はSEKIDOさんは細かく書いてくださりわかりやすいですが、他社さんの記事を見ると
結局記事から活かせることが少ないなんてことが多いんですよね。少しでもわかりやすく書いちゃうと手の内
を明かすことになるからでしょうか?
RER drone pilot株式会社が所属する【G.T.R DRONE】では所属先が開催するマイクロドローン研修に参加して
くださった方には卒業後3カ月間産業用ドローンについてもサポートしています。(私達が知っている範囲ですが・・・)

今回は産業ドローンのmatrice300RTKZenmuse20Tを使用した木造家屋の点検方法
を研修してきました。過去形になっていますが、測量研修の時と同じ時期に実施しています。
講師は赤外線カメラを使用した点検も私三瓶が実施しました。

一箱にカメラから機体にプロポとほとんどが入ってしまう素晴らしいケースです。
まずは組み立てについて説明します。(きっとYOUTUBEのRERちゃんねるでも紹介されます)
足付けてカメラジンバルをつける方法などを田頭代表と梅原パイロットに説明します。

ヘリポートにドローンを設置します。そして、今回はオートパイロットではなく、手動での飛行になります。
どのように赤外線カメラと可視光カメラを使用して日頃私は点検して雨漏りを発見しているのか?異常個所を発見しているのか?
を二人に伝授します。
実は飛行しているときに既に異常個所の目星をつけることができます。(詳しくは3年間雨漏りが発見できなかった雨漏りを発見したコラムをご覧ください。

飛行前のプロポのアプリの設定を講習します。飛行前にカメラの切替などをしておくと便利です。

パイロットが離陸をさせて屋根点検に向かいます。木造家屋の場合外壁から雨漏りするケースは限られています。
今回の物件は実際に雨漏りしています。(解体予定ですから・・・)

梅原パイロットのストラップの付け方は置いておいて、赤外線カメラと可視光カメラを切り替えながら点検をします。

解析ソフトに入れる前に既に赤外線映像で異常個所を発見します。このポイントをパイロットが発見できるようにならないと産業用ドローンパイロットとは言えません。

すぐにプロポのモニターを可視光に切り替えることが大切です。可視光と赤外線映像を使い分けることが建物点検で必要になります。
可視光カメラだけでは雨漏りは発見できないと思ってください。屋根点検を依頼するなら高性能な赤外線カメラか確認しましょう。
DJI製のMAVIC 2 ENTERPRISE DUALでは赤外線カメラの性能が低く雨漏りの発見は難しいです。
また、ズーム機能がないので、近くを確認する場合は被写体に近づくことが必要で安全性が確保されません。
今回可視光カメラでわかることは屋根が傷んでいるという事です。すぐに洗浄と塗装が必要です。私がペンキ屋さんなら洗浄で雨漏りする可能性を依頼主に伝えます。

実際に解析ソフトで解析した映像を下記に用意しました。

南側でほぼ均等な日当たりなのに、温度差が大きく出ています。実はこのすぐ下が雨漏りをしています。
直近で雨が降っていません。2月2日の雨がずっと乾かず染み込んでいたと推測できます。若しくはスレート下に水が溜まっていると推測されます。
本来雨漏り調査は雨が止んだ翌日が最適です。但し、曇りの場合は翌々日が適しています。

今回、床下点検と仮測量・赤外線点検を見学に来ている方へ今回の事象と映像について説明をします。
後で、建物内に入って雨漏り個所と一致していたことにびっくりされてました。

後半は田頭代表に代わり梅原パイロットへ木造家屋の点検方法を今度は目視の目線から説明します。

木造家屋の屋根点検を行う場合
①プロポの画面を録画しておく。
②赤外線カメラの性能の良いものを使用する。(可視光カメラだけでは雨漏り発見はきびしい)
③赤外線とカメラの被写体距離を一定にする。(H20Tの場合はレーザー距離計を活用)
④屋根は勾配があるのでカメラの角度と距離に注意。
⑤屋根点検の場合のカメラと被写体の距離は4m~5m。(安全優先)
⑥思い込みで調査を行わない。
⑦必ず解析をして判断する
⑧可視光カメラのZOOMを利用する。
⑨飛行テクニックだけでなく赤外線カメラの分析能力を身につける。

赤外線点検の内容も、今後の「G.T.R DRONEスクール」に参加してくださった方向けの研修会で発表したいと思います。
また、解析方法については研修会で実施するか、こちらで記事にするか検討します。

 

 | 取材者の紹介

三瓶 晃幹
RER Agency株式会社 代表取締役
RER drone pilot株式会社

取締役自身が代表を務めるRER Agency株式会社で、不動産事業とドローン事業の融合を目指している。
RER Agencyでは宅地建物取引業及び・賃貸住宅管理業者・住宅宿泊管理業者の登録を行っている。
ドローンに赤外線カメラを使用した建物調査の独自手法で雨漏りや建物の不具合箇所発見している。
不動産業界では仮測量・建物調査・空撮などでドローンを最大限に使用している。
自身の人脈を活かし大手賃貸管理会社とも建物調査で業務提携。
プロドローンショップ「GS RTA」と2020年11月に業務提携をし、共同イベントを実施した。